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「学びとは何かー探究人になるために」 今井むつみ 岩波新書 [読書]

以前、ブログでご紹介させていただいたこともある今井むつみ先生。
今回は先生の著書のご紹介です。


八月には、翻訳された新書「科学が教える、子育て成功への道」が出ましたが、
こちらの本を読んでみるまでに、先に整理しておきたくて。


原点に立ち返り、
学びとは何か、
知識とは何か、
熟達とは何か、
(ほんとうは、生きるとは何か、まで)

夏にかなりの情報を整理したつもりでいたのですが、
また、新たな方々とお話しさせていただく機会をしばしばいただくようになり、
これらのことをもう一度整理したいと考えていました。
まさに生きた知識のシステムを交通整理しておきたいという思いがあり、
急いで読みたくなったのが、こちらの本でした。

さすが、語彙の習得の専門家の著書、ひとつひとつの言葉について丁寧に明確に定義づけられ、
言葉、言語に対して厳格かつ真摯な姿勢がひしひしと感じられました。
記憶を4つの型に分類したり、直観を3パターンに分けて丁寧に説明がなされていたり、
タイトル通り、自ら探究人としてお手本を示すように、
これでもかこれでもかと、とことん探究を実践されています。
探究好きな方は、間違いなく喜んでしまうと思います。


記憶とは、
知識とは、
熟達とは、
直観とは、
才能とは、
天才とは、
創造性とは。


学びとは何か、について真正面から挑んでいるとても清々しい作品です。
段階を追って、丁寧に読み解かれており、
これまでの学びに関する知識のシステムを、スッキリと再編成できました。

最終章の"探究人を育てる"
の内容に関しても、これまでの自身の体験から、感じていたことではあるのですが、
著者のお考えに全く同感します。
せめて、最終章だけでも、子育て中の方に、ぜひ読んで頂きたいです。



ほんとうの知識とは、ほんとうの学びとは、何か、
改めて問い直したい人におすすめの書です。

文章も、内容の構成も美しくシンプルです。
理解しやすいように工夫がなされているので、サッと読める良書だと思います。
すでに探究人だよという方、これから探究人にという方、
探Q舎に興味あり、という方におすすめです。



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■知識を事実と捉えてしまっている人々が多い。
覚えた事実の量を評価するようなテスト文化の影響は否定できないとのこと。

知識は常に変化する。生きた知識のシステム。
直観と批判的思考による熟慮との両輪として働かせていくことが重要。

■探究人を育てる
・知識は自分で発見するもの。
使うことで身体の一部にするもの。
様々な現象に対して、なぜ?と問い、自分から答えを求めていく姿勢。
これは、幼児期から育てられる。
これは、知識は教えてもらうものではなく、自分で発見するもの、という認識につながるから。
子どもは生まれながらに、自分で知識を発見するようにできている。

・親も探究人であること。
子どもが探究人であるためには、親も探究人となることが欠かせない。
小さい子どもほど親の価値観に敏感であるから、親の影響力は大きい。


■発達心理学でZPD (Zone of Proximal Development)という概念
レフ・ヴィゴッキー (ロシアの心理学者)

誤ったスキーマの修正をしつつ、いまよりも少し発達のレベルの高いところに登って行く。
子どもが自分のスキーマがおかしいことに気づく状況を設定する。
自分のスキーマが誤っていることに気づき、自分で修正することができたら、
その喜びと感動は、テストで良い点を取ってお小遣いをもらう比ではないはずだ。

この経験が学びの意欲へつながる。
子どもが自分で発見し、自分で進化できるような状況を設定することが親や教師に求められる。

■主体的な学びの本来の姿
それは、知識の構築、創造である。
生きた知識の学びは、母国語習得のときにだれもがおこなっている。


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