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BALアプローチ [リサーチ]

脳科学の知見を、
教育界やビジネス界に有効に活用して行こうという流れが広がってきています。

たしかに、いかなる世界も脳が鍵を握っていることは間違い有りません。
世界は感情で動くと言われて久しいですが、
世界は脳で動く、ということです。


そこで、応用神経科学と言う分野に属するBALアプローチについて最近の動向を抑えたく、
少し整理しています。

BALアプローチとは、
Brain脳、適応Adaptive、リーダーシップLeadershipの3つの要素から構成されています。
日本語で言うと脳適応リーダーシップです。

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『なぜ、あの人に部下はついていくのか〜最新脳科学が明かすリーダーシップの本質』
アレクサンドロス・サイコギオス/ニコラオス・ディミトリディス (著) 大和書房 2017

脳のしくみを知った上でリーダーシップを発揮しようと説いています。
これは、ニューロ・リーダーシップと言われます。

第一の柱ーー思考
第二の柱ーー感情
第三の柱ーー脳の自動制御
第四の柱ーー人間関係

最新の研究成果がふんだんに紹介され、本文の中に多くの代表的専門家の名前と文献が散りばめており、
興味をもった箇所についてすぐに学びを深められるようになっています。
具体的な実験シンプルに分かりやすく提示されていました。
多くは、認知科学、心理学よりの脳研究ですが、これから徐々にさらに面白い知見がどんどんふえて行くのではないでしょうか。

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ところで、
困難で重要な状況に対する遂行能力が高い脳の状態であるフローに入りやすくするには、
どうするのが良いのか、その方法をずっと探っていました。

今回は、フローと創造性に関しての部分を少しご紹介します。


『フローについて』
適切な値のα波が瞑想状態での集中力をもたらし、適切な値のθ波が究極のリラックス状態をもたらす。
この2つの値が適切な値のとき、困難で重要な状況に対する遂行能力が頂点となる。

■フローに入るための内的条件
【より大きな目的】
自分の行動が個人的に抱いている重要な目的に役立つという実感があること。
目的によってやる気を引き出され、心底から積極的且つ情熱的になればなるほど入りやすい。
【高度な専門技能】
専門分野の基本スキルが充分で、優秀であること。アル程度卓越していること。
【不安の軽減】
不安があるほどフローに入りにくい。酷いストレスや過度の圧力は最悪の敵。
最強の組合せである、瞑想状態での集中力、強力な心的報酬、内的動機付けが同時に現れることを妨げるから。

■フローに入るための外的条件
【新たな課題】
直面する課題が日常的でないこと。
日常的な問題には脳が自動操縦モードに切り替わり、習慣を呼び起こし省エネするから。
ワクワク、夢中になるような目新しい要素を含む事。
【ある程度の権限】
権限や裁量権が自分にあること。
これらがなければ最高の自分になるための気力を見出すことはほぼ不可能である。
【重大性】
重大な状況であればあるほどフローに入りやすい。
必要に迫られて、緊迫感、大きな衝撃を感じる中で、フローに入る。


■創造性を発揮するには

創造性を発揮するのは、分析や合理的な思考を司る脳領域(おでこの前頭前野)ではない。
想像力には、脳の実行機能を司る部位の活動低下が不可欠である。
この前頭前野の活動が低下した状態を前頭葉低活性と言い、抑制の低下や注意力の減少、
規範の放棄を招く。
心がより開放的になり、新しいアイデアがより自由に発生する。


アイデアを寝かすのは、この脳の実行機能を静めることと言える。
熟考した後、一旦頭から問題を離すことで熟成し考えが解放される。
脳の他の部位から適切な解決策が提供されることに繋がる。
前頭葉のはたらきを抑制したとき、古典的な脳領域から創造性は生まれるようだ。
データやグラフや表を繰り返し調べてアイデアを出そうと頑張るほど、創造性からは遠ざかる。


■想像力を開花させる方法
ステップ1:理解。情報入手、経験、分析。
ステップ2:探求。寛容な姿勢で話し合い、自由に。
ステップ2a:個別探求。問題の背景に注意を向ける。熟成や一晩寝かせるなども。
ステップ2b;グループ探求。休憩しながら、ストレスを溜め込みすぎない。
ステップ3:意思決定。慌てて実行に移さず慎重に検討する。
ステップ4:実行。アイデアを実行に移すための様々な行動の調整をする。
ステップ5:結果。量と質の両方について、できるかぎりの多くの指標を取り入れて効果測定。
ステップ6:定着。

自分の力でフローをおこす方法が研究されているようですが、
もう少し時間がかかりそうですね。

学校や会社では、フローがおこりやすい環境を整えることが、
パフォーマンスを上げる鍵になるのではないでしょうか。
日本の一人当たりのGDPが低いことがよく指摘されますが、
個人の時間あたりのパフォーマンスが上がれば、組織のパフォーマンスも上がりますよね。

色々な政策の議論も大事ですが、やはり基礎研究、大事です。
そして、その成果を実社会に活かす応用研究ももちろんです。

BALアプローチ、誰にとっても重要だと思います。
脳を持っていない人はいないですし、使っていない人もいないですから。

脳のしくみを今一度知ることからはじめ、
日常生活を見直すと、ひとりひとり、それぞれ再発見があるのではないでしょうか。







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