SSブログ

生きた化石、カブトガニ [記事]

 生きた化石とよばれるカブトガニ。
節足動物の一種のカブトガニですが、およそ3億年前に出現して殆ど姿を変えずに生き続けているためそう呼ばれています。

このカブトガニの血液が、活躍しています。



●医療への応用〜細菌感染の測定試験へ

・エンドトキシン試験法
 一般的に細菌はグラム染色によってグラム陽性菌と陰性菌に分けられます。
グラム陰性菌の細胞壁を構成するリポ多糖であるエンドトキシンは血中内に進入すると発熱性などの種々の生体反応を引き起こします。
エンドトキシンは代表的な発熱物質であり、pg (10-12g)やng (10-9g)という微量でも血中に入ることで、発熱をおこします。
 現在では注射剤や医療器具等の血中に入るものはエンドトキシン試験を行うことが不可欠となっています。


●カブトガニの血液

 鉄を含むヘモグロビンに由来するヒトの赤色の血液とは異なり、銅を含むヘモシアニンが成分であるため、淡い青色をしています。

・カブトガニ血球を用いた試験法の歴史
 1964年にエンドトキシンによりカブトガニ血球抽出物の凝集・凝固が起こることが発見され、この現象を利用してライセート試薬が開発されました。
 ライセート試薬を用いたエンドトシキン試験法は、1980年のアメリカの公定書に初めて収載され、2009年10月に再度国際調和合意に至り、日本では2011年4月より国際調和されたエンドトキシン試験法が施行されています。

・LAL試験
 カブトガニの血液中には白血球が存在せず、外部から入り込んできた病原菌と戦う能力を持たない代わりに、血液は細菌内の毒素、エンドトキシンと反応して凝固する能力を持っており、不溶性のゲルとなって菌を閉じ込めることで、病原菌から身を守ります。
 ライセート試薬の原料となるカブトガニ (Limulus polyphemus )の血球抽出成分 (Limulus Amebocyte Lysate、通称LAL) と呼びます。

 細菌毒素に反応して凝固する性質はとても貴重なものであり、カブトガニの血液から抽出されるLALは、ほんのわずかな細菌にも反応するため、とても高い精度で汚染を見分けることが可能です。
医療機器やワクチンの汚染を確認する試験でおおいに活用されています。

 以前の細菌感染試験には大量のウサギが利用されており、さらに結果が出るまでに2日間もかかっていました。一方、カブトガニの血液を利用する「LAL試験」は45分以内で結果が分かるそうです。

 しかしながら、それぞれのカブトガニから30%もの血液を採取するため、献血後48時間以内に自然に帰しても長くは生きないそうです。一回に30%はとりすぎですよね。
絶滅してしまわないのか心配になります。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。