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「オノマトペの謎〜ピカチュウからモフモフまで窪薗晴夫編、岩波書店、2017」 [読書]

最近は、一昔前に比べ、非侵襲的な脳波測定やMRIのような手法がが簡便になってきたことから、
赤ちゃんを対象とした脳の情報処理の解析も進んでいる。

発達心理学者が、従来のノウハウとこの電気生理学的手法、脳科学的手法を組み合わせることで、
赤ちゃんの脳の反応をモニターすることができる。
比較的有名なのは、言語の発達の研究分野における言語習得でのLとRの聞き分けだ。
幼児の言語の獲得について、少し、勉強することにした。



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今回は、今年5月に出版されたオノマトペの本を読んでみた。

オノマトペ (擬声語)
実際の音をまねて言葉とした語。さらさら、ざあざあ、わんわんなど。
広義には擬態語も含む。(広辞苑より)

日本語のオノマトペだけでなく、外国語のオノマトペも扱っており、オノマトペについて一通り探究していて興味深かった。


p105、オノマトペは言語の学習に役に立つのか

赤ちゃんの言葉の発達とオノマトペには深い関係がある。
大人も、動作について語る中で、対象が小さければ小さいほど無意識にオノマトペを多用する傾向がある。子どもに対してオノマトペを使うのには何か理由があるはずだ。

一歳を過ぎた赤ちゃんでは、モノを見せたとき、モノが単語と合っている時と、合っていないときで、違う脳波のパターンが見られる。この脳波を認識の指標として実験を行うのである。


興味深かったのは、p109。
●「もま」と「きぴ」の意味を赤ちゃんはわかる?
生後11ヶ月の赤ちゃん、トゲトゲ、カクカクした形の吹き出しのような形と、丸みをおびた吹き出しのような形を見せる。たいていの人は、丸い方が「もま」で尖っている方が「きぴ」であると直観的に感じる。

赤ちゃんに言葉と対象の組合せをつぎつぎと提示したところ、、、、
まだほとんど言葉を知らない11ヶ月の自転で、赤ちゃんは人が発する音声が何かを指し示すものだと思っていて、単語の音声が音に合わないモノと対応づけられると違和感を覚えたのである。

生後11ヶ月の赤ちゃんは初めて聞いた単語でも、それに合った形を識別し、合っている形をその単語の対象と自然に思ってしまうように至るメカニズムがこの時期の脳に既に潜んでいることがわかる。


●子ども達がオノマトペが好きな理由は?
・感覚的でわかりやすい
・場面全体をオノマトペ1つで表すことができること
・声色や発話の速さ、リズムなどで人の感情を乗せやすいこと
・劇場的な効果を作れること
など

●オノマトペに親しむことで子どもは言語の性質を学ぶことができる
・音と視覚情報の対応付けを感覚的に「感じる」ことにより、言葉は意味を持つという気づきにつながる
・リズムや音から、母語の音の特徴や音の並び方などに気づく
・母語特有の音の結びつきを感覚的に覚える
・沢山の要素がありすぎる場面で、単語が指し示す部分に子どもが注目するのを助ける


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この本は、2017年1月21日に東京で開催された、第10回NINJALフォーラム「オノマトペの魅力と不思議」国立国語研究所主催、言語系学会連合共共催と連動する形で企画されたものだそう。

執筆者7人の先生方の中には、知っている先生 (今井むつみ先生、秋田喜代美先生、小野正弘先生) もいらっしゃって、今後も、言語と学びについてもう少し深く探究したいと思った。
どのような分野に進む人間でも、だれでもいつでもどこでも必要とされるのが、言語能力。
様々な人と協働するためにも、自分自身の学びのためにも強力にものをいうのが言語表現能力である。

全ての子ども達に、言語力、表現力を強化してほしいと願っている。

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