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クモの探Q〜クモのリスクマネジメント [読書]

『クモの糸の秘密  大崎茂芳  著  岩波ジュニア新書』

折角ですから、自然に恵まれたこの立地条件を活かしたいと思います。
時には野外学習や青空教室もしたいと思います。
季節を考慮し、熱中症などには十分配慮する必要がありますが、現在実現可能性の高いテーマをいくつか作っています。

そのうちの一つに、いきもの好きの子ども向けに"クモの探Q"があります。

本日は、クモの命綱について、少しご紹介します。
この本の著者は、大学教授で、2006年にクモの糸をつなげたハンモックにのってクモの糸にぶら下がるのに成功されました。生体高分子学、高分子物理学が専門です。クモの糸も高分子です。

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クモは7つの分泌腺を持っており、そこからそれぞれの目的に合った7種類の糸を出します。
そのうち、牽引糸と呼ばれるクモの命綱ですが、細いながらも大変強度の高い糸であることが知られています。

文字通り、命綱なんですが、その糸の弾性限界強度*は、クモの体重に比例して増大し、その傾きは約2になっています。その後、電子顕微鏡での観察で、この牽引糸は2本の円柱状のフィラメントから構成されていることがわかりました。つまり、この体重の2倍という値は、万が一、2本から成る命綱のうち1本が切れてしまっても、残りの1本で、クモの体重を支えることができるようになっているのです。
クモのリスクマネジメントです。

この研究結果は1996年、
「二の安全則」として、権威ある科学雑誌Natureに掲載されました。
S.Osaki, "Spider silk as mechanical lifeline", 384,419 ,1996

「へー!!よくできているなあっ」
て感動しませんか?
自然や生き物の知恵は恐るべし、です。
まだまだ、
「なんと、上手くできていること!!」
と感動したことがたくさんありましたがここには書ききれないほどですから断念します。


*弾性限界強度
糸に引っ張る力を加えると力の大きさに比例して伸びるが、ある限界点を過ぎると、伸びやすくなる、さらに力を加えると糸が切れてしまうが、この力 (張力)に比例して糸が伸びる張力ー伸びの正比例の関係が変わる限界点での張力を言う。

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今回、クモの探Qの教材を作製する中で、クモの不思議が沢山あることが分かりました。
研究の結果、明らかになっていることもありますが、まだまだ解明されていない面白い謎が沢山あるようです。

日本に存在するクモは約1200種だそうです。
こんなに種類があるのですね。

ただ、毒グモ (コマチグモとセアカゴケグモ)には注意しなければなりません。
基本的に攻撃性は低いため、不用意に攻撃しなければ、ヒトに噛み付くことはないそうです。

クモには、4億年の進化の歴史があり、400万年の歴史のヒトには到底及ばない進化の歴史です。
生きる工夫が沢山蓄積されているようです。クモから学べることも意外に多いかもしれません。

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